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黄金の門をくぐって

メイベル・コリンズ著『黄金の門をくぐって』の日本語訳を掲載します。

 この精神的苦痛と努力を無駄にすることへの治療法は何だろうか。それは一つだけだろうか。確かに人生にはロジックがあり、生きることを可能にする法則がある。そうでなければ混沌と狂気だけが到達可能な状態となろう。

 最初のカップ一杯の喜びを飲む時、魂は言語に絶する喜びに満たされる。その喜びは最初の、新鮮な感覚を伴っている。その人が二杯目のカップの中へ入れる一滴の毒は、もしその愚かさに固執するのなら、二倍にも三倍にもなり、ついにはカップの中身がすべて毒になるに違いない――毒は、繰り返しと増大への無知に基づく欲望である。このことはあらゆる類推から、明らかに死を意味する。子供は大人になる。不可避の代価を払うか馬鹿にならない限り、子供時代をとどめておいたり、子供の頃の喜びを再現したり強めたりできない。植物は地面に根を張り、葉を高く広げる。それから花を咲かせ、実をつける。根や葉を出すだけでずっと成長しなかったら、庭師に劣っていると思われ、捨てられてしまうに違いない。

 努力の道を選び、魂を鈍くする怠惰な眠りを拒む人は、いつも感知できるより微細な喜びを見つける。――その微細な喜びは、精妙な何かであり、単に感覚を喜ばせることがすべてである状態をますます脱して遠くかけ離れた何かである。この精妙なエッセンスは不老不死の霊薬であり、人を不死身にする。それを味わう人と、それがカップにたまるまで飲まない人は、熱望する目の前に人生が大きく広がり、世界が大きくなるのを見る。彼は愛する女性の中の魂に気づき、欲情は静寂となる。彼は思考の中に霊的真理のより微細な性質を見る。霊的真理は私たちの頭脳の仕組みを超えて作用し、さらに、彼は知的追求の堂々巡りに入り込むかわりに直観という鷲の広い背中にやすらい、澄んだ空高く舞い上がる。その空は偉大な詩人たちが洞察力を見つけた場所である。彼は自分の中に感覚の力、新鮮な空気と日光、食べ物とワイン、動くことと休むことを喜ぶ力、精妙な内なる人間の可能性、肉体や脳が死んでも死なないものを見る。芸術、音楽、光と美の喜び――人々が外形にすぎないとわかるまで繰り返すそれらの形態の中に、彼は黄金の門の栄光を見て、酔わせるものも強化するものも超えた新しい人生を見つけるためにそれをくぐり行く。肌を刺すような寒い山の空気がまさしく本物の活力で人を酔わせ、力づけるように。もし彼が不老不死の霊薬をカップの中に一滴ずつ注いできたなら、その場所の極端に強い空気を吸える強さを有し、そこに十分生きられる。それから肉体が生きようと死のうと、等しく彼はそのまま進んで行き、新しくてより微細な喜び、より完全で満足な経験を、吸って吐く一呼吸ごとに見つけるのだ。

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